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夏型過敏性肺炎

監修 順天堂大学医学部附属順天堂医院 総合診療科 小林 暁子
T-PEC 顧客サービス室 発行

梅雨のシーズンになり、カビにとっては絶好の生育環境になってきました。
カビは細菌やウィルスと同じく微生物の仲間で、キノコや酵母と同じ真菌類に分類され10万種以上存在します。その多くは土壌中、あるいは植物に寄生しており、私たちの生活に関わっているカビは数百種類と言われています。

日数の経った食品やお風呂場などでカビを目にする機会がありますが、洗濯槽やエアコンなどの隠れたところでもカビは生育しています。カビは医薬品や食品に利用される反面、アレルギーや中毒、水虫などの病気の原因になることもあります。

今回はその中でも、見過ごされやすい病気として夏型過敏性肺炎についてお話したいと思います。
夏型過敏性肺炎とは
夏型過敏性肺炎とは、ほこりや鳥の糞、カビや細菌を反復して吸い込むことにより、その物質に対してアレルギー反応を起こし、その結果肺炎を起こすという過敏性肺炎の中のひとつです。夏に発症し、秋には症状が消え、数年にわたって同じ季節になると繰り返す傾向があり、わが国独特の病気です。
原因
夏型過敏性肺炎はトリコスポロンというカビを、知らず知らずのうちに吸い込むことによって起こる私たちにとって非常に身近な病気です。エアコンが原因となる事が多いため、5月から10月の間だけ症状が現れることが多いです。トリコスポロンは他にも台所や浴室にも多く繁殖しています。
症状
多くの場合は抗原となるカビを吸い込んでから4〜6時間後に、咳や痰・発熱などの軽い風邪のような症状で始まる事が多いです。しかし、風邪だと思って放っておくとどんどん症状が重くなり、次第に息切れなどの呼吸困難を伴う肺炎の症状が現れるようになります。症状は8〜12時間持続しますが、その環境のままだと症状はそれ以降も続き、その環境から離れると数日から10日で治ってしまいます。
環境の改善をせずこの状態を何年も繰り返すと、肺が繊維化しぶ厚くなって肺繊維症という慢性的な病気につながる場合もあります。
検査
白血球やCRP等の炎症反応をみる血液検査や、肺活量などの肺機能検査、胸部レントゲンを撮影し診断します。また、いったん入院し症状が消失したところで、帰宅させて症状の有無を確認することがあります。
治療
最も大切なのは原因となる抗原を取り除くということです。特別の治療がなくとも、入院して抗原から遠ざける事により症状の改善をみることも多いです。
薬物療法としてはステロイドが中心で、症状に合わせて対症療法を行います。
予防
1.カビの繁殖しやすい条件を作らないことが大切です。
カビの生育する条件
栄 養 糖類を好むが、それ以外のものも条件がそろえば分解吸収して栄養源にする。
温 度 5〜35℃の範囲で発育するが、20〜30℃が最も増殖しやすい温度となる。
湿 度 湿度が60%を超えると発生しやすくなり、80%を超えるとあっという間に増殖する。
酸 素 少しの酸素で生育できる。
2.エアコン・加湿器・洗濯槽をまめに掃除しましょう。
3.浴室・台所などの水周りは特に掃除をまめに行いましょう。
カビが発生した場合は・・・
※必ずマスクをして、換気をしながら行ってください。
1.エアコン等は使い始めに必ずしっかりと掃除をしましょう。
2.次亜塩素酸ナトリウム(ハイター等)やカビ取り剤、消毒用アルコール等の薬液を塗布します。
3.直接塗布できないところは、薬液を薄めて拭き取りましょう。
このようにカビは人間の生活に悪い影響を与える事が多くあるため、以上のような事に注意しながら、ジメジメとした梅雨を乗り切り、快適で健康な生活を送りましょう。

参考・引用文献:
「シンプル微生物学」  南江堂
「内科学II」  朝倉書店
「これだけは知っておきたい呼吸器の病気」  NHK出版
「効果抜群ダニ・カビ退治法」  主婦と生活社

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